Doctors Voice vol.1
副作用を抑えて患者に寄り添う治療を
未承認治療薬/海外医薬品による
治療は患者さんの選択肢の一つ。
治療の成果にも繋がっている。
医療法人社団ケーイー ふるたクリニック
理事長・院長
古田 一徳 先生
― アイアールエックス・メディシンのサービスを利用して、
未承認治療薬/海外医薬品を使用し治療することに至った背景を教えてください。
私は元々肝臓、胆嚢、膵臓の外科医として大学病院で長く手術をしており、移植も手掛けていました。大学病院は一般に専門性の高い医療を提供できる素晴らしい環境なのですが、標準治療※1以外の治療を行いにくいという一面もあります。当時私は准教授の地位にあり、後進の医師を指導する立場にありました。患者さんの病状によっては、標準治療とやや異なる治療を行いたい場面があります。一番典型的なのは、標準治療で決まっている薬の投与量だと多すぎて副作用が強く出てしまうが、もっと少量なら副作用を抑えて治療効果を出せる、というケースです。しかし組織の一員として、標準治療を守る責任があるため、この治療は大学病院では行えません。
そんなジレンマの中、保険外も含めてもっと患者さんのためになる治療ができないかと思い、意を決して2010年にクリニックを開業したんです。開業してからも、一部の抗がん剤は入院設備のないクリニックには卸してもらえないため、薬の入手にも困難がありました。そんな中、「輸入代行」等で検索してアイアールエックス・メディシンのホームページを発見したことがきっかけだと思います。
また患者さんご自身やご家族も、よくインターネットで調べて治療を受ける時代なので、未承認治療薬/海外医薬品に対する患者さんからのニーズは高まっています。上述のように、薬によっては、患者さんがクリニックで治療を受けたい場合、個人輸入せざるを得ません。例えば副作用の小さい、標準治療よりも少量の抗がん剤治療を求めて、最初からクリニックで治療を相談する方も増えているのです。
※1 標準治療
科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる「最良の治療」であることが示され、多くの患者に行われることが推奨される治療のこと
― 治療中に直面した課題や困難はございますか。
またその克服内容についてお聞かせください。
はい。海外からの医薬品の輸入は納期が2~4週間かかるので、患者さんと相談して薬の利用が決まった後に、できるだけ早く手配するため、代金をクリニックで立て替えるケースがあります。その後患者さんが急変して亡くなってしまった場合に、薬の輸入自体が宙に浮いてしまうということがありました。やむを得ない事態ではありますが、輸入の性質上、他の患者さんには使えないので、この代金はクリニックの持ち出しになります。この件も含め、保険外診療はクリニックにとって経済的な利益が小さいのですが、患者さんにより良い医療を提供するためと思って続けています。
そもそものネックはこれが自費(保険外)診療ということで、経済的に選べる患者さんが限られてしまうという事実はどうしてもあります。
― この治療を行って成功したこと、ポジティブな結果はございますか。
まず患者さんの治療の成果が良かったことです。大きな病院ではその薬の適用外になっているけれど、患者さんが海外の症例や文献を調べると、使われていることが分かる。そういう場合に当院で治療を受けて、がんが縮小したとか、予後が良い、余命3か月・半年と言われた患者さんが、3年も5年も生きられた、という方は結構います。
また規定の処方量が多すぎて副作用も大きくなりがちなお薬で、5分の1や10分の1の量を使って効果があり、副作用も少なかった方もいます。
免疫チェックポイント阻害剤についての書籍を出している他クリニックの医師もいて、このやり方は患者さんにとっての選択肢、医療の幅としても広がっていくのではないかと感じています。
― 弊社サービスをご利用いただいたご感想をお聞かせください
海外から医薬品を輸入することは、現地で信頼の置ける供給元を確保したり、輸入確認証※2を取得したり、薬によっては配送時の温度管理が必要だったりと、非常に手間のかかる手続きが必要です。繰り返しになりますが、特に書類の準備が煩雑なので、ここを代行してくれるというのが大変ありがたいです。願わくばもっとデジタル化が進んで、手続きが簡素になると良いのですが。
※2 輸入確認証
旧「薬監証明(やっかんしょうめい)」。厚生労働省から輸入許可を受けていることの証明書類。個人が自ら使用するために医薬品等を輸入する場合、又は医師等が自己責任の下、自己の患者の治療や診断に使用する医薬品等を輸入する場合などは、事前に厚生労働省大臣(地方厚生局長)に輸入確認申請書等を提出し、輸入確認証の交付を受ける必要がある。
― 未承認治療薬/海外医薬品による治療を検討している
患者や医師へのアドバイスをお願いします。
患者さんには、あきらめないで、主治医に他に方法がないかを尋ねてほしいです。
医師にはこの治療の存在や輸入代行サービス自体を知ってほしいです。口コミで他の医師には相当紹介しましたよ(笑)。うちのクリニックでも認知度を高めたいと思って情報発信をしていますが、いかんせん医療法や薬機法の規定が厳しいので、法律を守りながら工夫してやっています。
お話のまとめ
■お話を伺った方
医療法人社団ケーイー ふるたクリニック
理事長・院長 古田 一徳 先生
■施設情報
ふるたクリニック
https://furuta-clinic.jp/
神奈川県川崎市麻生区百合丘1-19-2
司生堂ビル1F
小田急小田原線 百合ヶ丘駅 南口より徒歩2分
肝臓、胆のう、胆管、すい臓疾患の手術成績の向上
肝胆膵がんの化学(抗がん剤)治療
内視鏡外科手術、肝移植など
■主な資格
日本肝胆膵外科学会 名誉指導医
日本再生医療学会 再生認定医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本癌治療学会 暫定教育医
日本医師会 産業医
日本外科学会 専門医