Doctors Voice vol.2
標準治療で限界に達したがん患者さんを救いたい
十分な事前説明を行い、当院独自
の免疫治療の効果や副作用などの
リスクについて理解いただく。
藁にもすがる思いで受診される
患者さんのお役に立ちたい。
まきクリニック 院長
齋藤 載次 先生
― アイアールエックス・メディシンのサービスを利用して、
未承認治療薬/海外医薬品を使用し治療することに至った背景を教えてください。
私が海外医薬品を使用しているのは、がん患者さんに免疫治療を行うためです。ご自分の血液から採りだした免疫細胞を培養し活性化させた上で身体にもどし、更に低用量の免疫チェックポイント阻害剤を加えることにより強化された自己の免疫力でガンを攻撃する治療法です。2024年現在、「免疫チェックポイント阻害剤」※には複数の適応症があるものの、国内品は事実上大病院で、かつ条件付きでなければ保険適用が認められていません。そのため、保険適用の条件に合わない癌種の患者さんや、例えば低用量の使用を求める患者さんには、現状では個人輸入による海外医薬品に頼らざるを得ないのです。
免疫チェックポイント阻害剤を使った治療は、今までのがん治療のように、薬が直接がん細胞を攻撃するのではなく、もともと体内に備わっている患者さん自身の免疫の力を利用して、がん細胞への攻撃力を高める治療法です。当院でも患者さんとご家族に十分な事前説明を行い、効果や副作用などのリスクについて理解していただいてから治療に進んでいます。
※免疫チェックポイント阻害薬は、さまざまな免疫細胞の働きを抑制する「免疫チェックポイント」を阻害することで、がん細胞に対する免疫を活性化・持続させる薬剤
― 治療中に直面した課題や困難はございますか。
またその克服内容についてお聞かせください。
ほとんどの患者さんは、がんの発見の直後から大病院を受診し、治療に当たられます。当然標準治療を受けている訳ですが、標準治療による成果が芳しくなく前述のように保険適用の条件に合わない場合は、保険外の治療を望まれることが少なくありません。また標準治療を受けた結果、副作用に苦しんで治療を中止してしまうこともあります。この状態で藁にもすがる思いで当院を受診される患者さんに、何とかお役に立ちたいと思っています。
しかしながら受診の経緯もあり、大病院からの患者さんへの圧力や場合によっては当院に対するバッシングがあるのは事実です。我々としては治療結果で正当性を示すしかありませんが、今でも耐え忍ぶことが大変です。
また現在は閉院しているクリニックですが、ある美容医療グループが本格的に免疫治療に参入した時期がありました。彼らは宣伝の規模が大きく、世間の注目を集めましたが、保険外診療の料金が1回60万円×5回を超えるなどと高額だったことや、過剰な薬の投与や治療のトラブルに対する対応が悪かったことなどが重なり、結果的に自費診療の免疫治療に対する偏見を更に増長させてしまい、ある種の「焼野原」にしてしまいました。そのため、ますます免疫治療がやりづらくなっています。この例に限らず、がん治療の自費診療(保険外診療)を行う医師の一部は、残念ながら信頼性に欠けると言わざるを得ない現状があります。
― この治療を行って成功したこと、ポジティブな結果はございますか。
一部の患者さんには、「衝撃的な症例」と呼べるような、驚くほどの治療効果がありました。「あとは緩和ケアしかない」と言われた状態から、完治してしまう患者さんがいるのです。例えば標準治療で240mgの投与が定められている薬を、当院で10~20mgの少量だけを投与し、ほとんど副作用なく命を長らえた末期がん患者さんが何人もいらっしゃいました。
当院がごく小さい規模で免疫治療を続けている結果、大きな病院の医師から個人的に患者さんの相談や紹介を受けることがあります。また、自身ががんを患っている医師からの受診も出て来ています。
また日本以上に保険外診療の基準が厳しいアメリカや韓国の患者さんがどこからか当院の治療を聞きつけ、受診されるケースも増えています。
― 弊社サービスをご利用いただいたご感想をお聞かせください
非常に良心的かつスムーズです。知っている限りサービスの利用料は最もリーズナブルで、私の依頼にも真摯に対応して頂いていると思います。「海外から医薬品を輸入したい」という医師の相談があれば、もちろんアイアールエックス・メディシンを紹介したいと思っています。
― 未承認治療薬/海外医薬品による治療を検討している患者や医師へのアドバイスをお願いします。
詳細にデータを分析した訳ではありませんが、私自身の患者さんが免疫治療で治癒に至るのは、およそ2割程度に留まります。逆に言うと8割の患者さんの命は救えず、期待に応えられていないということです。
当院はあくまでも「治る」ことを目標にしていますので、一人の医師としてこれは最も堪えます。副作用も軽症も含めれば15~17パーセント発生しています。
ただ標準治療・保険診療に見放されてしまった患者さんやご家族が当院の扉を叩いていただいた以上、可能な限りそのご希望に沿いたいと思って続けています。上述したような他の医療者の偏見に耐えながら、そうした信念を持って行う覚悟が必要だと思います。
お話のまとめ
■お話を伺った方
まきクリニック
院長 齋藤 載次 先生
■施設情報
まきクリニック
https://www.maki-clinic.jp/
愛知県名古屋市中区大須3-30-60
大須301ビル4F
地下鉄鶴舞戦・名城線「上前津」駅徒歩2分
■ご経歴
平成3年 長崎大学医学部卒業
ポンペ賞(首席)受賞
碧南市民病院、県立愛知病院勤務を経て
平成16年 名古屋市内でまきクリニックを開設
■主な資格、所属学会
日本内科学会認定医
日本美容外科医師会会員